ロゼッタストーン日記

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zoom RSS 2月16日(火) ロゼッタストーン日記

<<   作成日時 : 2010/02/16 23:30   >>

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『リクルート事件・江副浩正の真実』(中央公論新社)を読んだ。検察の取調べの方法、逮捕された側の心理、検察がメディアや世論にどんなに影響されているか、なんてことがよくわかる良書である。リクルート事件というのは、値上がり確実と思われていたリクルートコスモスの未公開株を、政治家や官僚などに「賄賂」として渡していたとされる汚職事件だ。何人かの政治家や官僚、NTT関係者らが有罪となり、贈賄側の中心人物とされた江副氏は、2003年3 月、懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定している。初公判から1審判決まで13年という長い裁判だった。

江副氏は、「私にとって都合のよいように書いているところも少なくない」と前書きで断ったうえで、逮捕にいたるまでの過程や、裁判のようすなどをわかりやすく綴っている。非常に具体的なので、これを読むと、リクルート事件は本当に犯罪だったんだろうか…と、わからなくなってくる。江副氏と同じ状況だったら、私も間違いなく虚偽の「自白」をしてしまうからだ。

逮捕され、拘置所に入れられると、面会できるのは弁護士だけ。情報も遮断され、非常に孤独で精神的に不安定になる人が多いらしい。検事は大声でどなり、机をたたいて威嚇し、厳しく取り調べを続けていく。……とまあ、このあたりは、よく聞く話だが、江副氏の本によれば、実際の状況はもっと過酷だ。

「拘置所」に入ると、丸裸にされ、大勢の看守が見ているなか、四つんばいの姿勢で、突然肛門にガラスの棒を突っ込まれる。そして、「今後は名前でなく番号で呼ぶ」と告げられる。

否認と黙秘を続けていると、「このような態度を続けると、○○や○○も逮捕する。○○も逮捕せざるを得なくなる」と、部下や取引先の名前を出される。江副社長の場合は、自分の後任の(リクルート)位田社長も逮捕するぞ…という脅しにかなり不安になったようだ。

それでも否認を続けていると、「バカヤロー! 立てー!」と、壁に向かって立たされる。目をつぶると「目をつぶるな!バカヤロー」と耳元で怒鳴られる。長時間立ちっぱなしでいると足が棒のようになる。

ときには「調書作成に協力しないと、長期拘留になる。ここから縄でつながれて毎週裁判所に通うことになる」と脅される。ときには「協力してくれたら早期に保釈する」と甘い言葉で誘う。「裁判で争えるよう、ぼかした調書にする。いったん署名して、あとは裁判所で争ってくれないか、お願いだ」と懇願されることもある。「腰が痛い。医者に行きたいが、調書が取れないと医者にいけない」と泣きつかれたりもする。「お前は嘘をついていただろう!○○はこう言っている!あやまれ!土下座しろ!」と、土下座させられ、恐怖心から調書にサインしたこともあったという。

「否認を続けるかぎり、裁判が始まるまで保釈されない。○○は、判決の刑期より、拘置所にいた期間のほうが長かった」などと聞かされ、江副氏は調書に著名して、裁判で争う道を選んだ。そして、事実とは違うと思いつつも、検事が筋書きをつくった調書に署名するようになっていく。

無罪を主張して裁判を続けている前福島県知事、佐藤栄佐久氏の場合も、これまで自分を支援してくれた人たちが次々と検察の厳しい取調べを受け、自殺者まで出ていることに心が痛み、「自分が火を消さなければ」と虚偽の自白をする決意をしたという。

だが、いったん自分が署名した調書は、裁判で重い意味を持つ。裁判でどんなに否定しようが、証拠が薄かろうが、有罪になる可能性が圧倒的に高いのである。だから冤罪が生れるわけね……。

犯人に「罪」を認めさせるのは、簡単なことではないだろう。取調べを「可視化」したら、自白率が急激に落ちるかもしれない。でも、自分が無実の罪で逮捕されることを想像したら、いまの制度では耐えられそうにない。一部の関係者しか見ることができない仕組みでもいいから、取調べのようすはすべてビデオで録画することにしてほしいな。



取調べ可視化論の現在
現代人文社
小坂井 久

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