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zoom RSS 5月14日(月) どうなる? 読売新聞社の清武本「出版契約無効訴訟」

<<   作成日時 : 2012/05/14 23:30   >>

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5月9日、「読売新聞東京本社は、自社に著作権のある書籍を復刊しようとしている出版社「七つ森書館」(東京都文京区)を相手取り、出版契約の無効確認を求める訴訟を東京地裁に起こした」というニュースが流れた。それによると、読売新聞社は「〈1〉同書籍は15年前の事件を題材とし、既に絶版。事件関係者のプライバシーや心情を考慮し、復刊は相当ではない〈2〉職務上執筆した記事などを出版社から発行するには、社の了解が必要だが、昨年5月に出版契約を結んだ当時の社会部次長はこうした手続きを経ず、契約を結ぶ権限もなかった〈3〉社会部時代に原稿をまとめた清武英利氏は、昨年11月に読売グループである読売巨人軍の取締役を解任され、自らの解任問題を含め「あとがき」を書く意向を七つ森側に伝えており、著作権を持つ読売側では出版を望まない」という理由から提訴したとのこと。
※読売新聞ニュース http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120508-OYT1T01668.htm

このニュースを最初に見たとき、同じく(というか、七つ森書館以上の)弱小出版社を経営する私は「やっぱり、他社が出した本を出版するのはいろいろ面倒そうだなあ…」と感じていた。が、先日、ロゼッタストーンが所属する中小出版社の書籍販売サイト「版元ドットコム」のメーリングリストに、七つ森書館の代表取締役、中里英章氏が投稿されているのを読んで、「あれ?」と思った。ホームページにも同じ文章が掲載されているので、一部引用する。

「七つ森書館はスタッフ5人の小出版社で、『高木仁三郎著作集』『原子力市民年鑑』『自然エネルギー白書』など脱原発系の本を中心に広く社会の問題を考える本を出版してきました。3.11後の時代にあって注目をあつめる出版社だと自負しています。昨年から「ノンフィクションシリーズ“人間”」の刊行を開始しました。ドキュメンタリーの良書を復刊し世に広める企画です。監修・解説は評論家の佐高信氏で、すでに6冊を発行しています。このシリーズに『会長はなぜ自殺したか──金融腐敗=呪縛の検証』(読売新聞社会部。1998年新潮社刊、2000年新潮文庫)を入れようと企画し、2010年12月から読売新聞社と交渉を始めました。交渉は順調に進み、著者名を「読売社会部清武班」とすることも合意し、2011年5月9日に出版契約を結んだのです。本書の取材記者もつとめた読売新聞社会部次長(当時)が交渉の窓口となって読売新聞社の法務部門と協議した上で結ばれた出版契約です。」
※七つ森書館の見解 http://pen.co.jp/index.php?id=656

この契約は、読売新聞社の法務部門と協議してむすばれた出版契約なのだという。しっかりした出版契約を結んでいても、あとになって出版は無効だと訴訟(!)されちゃうことがあるんだ…というのは、けっこう驚き。もちろん、直接の理由は、この本の著者「読売社会部清武班」の清武氏が、読売新聞会長の渡邉恒雄氏(通称ナベツネ)に対する告発をしたからだろう。

七つ森書館の中里氏にメールで詳細を伺ったところ、読売側は「読売巨人軍は取締役を解任し、両社は現在係争中で社会的な問題になっているので、そのような人間の本を読売新聞としては出すわけにいかない」「これは出版契約書の『第24 条 (災害等の場合の処置)』『第29 条(契約の尊重)』に該当する」と主張したらしい。

ちなみに一般に出版契約書の雛形として使われている(災害等の場合の処置)(契約の尊重)は、次のような内容だ。(※七つ森書館の契約書とは違っているかもしれません。)

(災害等の場合の処置)地震・水害・火災その他不可抗力および甲乙いずれの責にも帰せられない事由により、本著作物に関して損害を蒙ったときまたはこの契約の履行が困難と認められるにいたったときは、その処置について甲乙協議のうえ決定する。

(契約の尊重)甲乙双方は、この契約を尊重し、この契約に定める事項について疑義を生じたとき、またはこの契約に定めのない事項について意見を異にしたときは、誠意をもってその解決にあたる。

誠意をもってその解決にあたった結果が訴訟だったということか……。

具体的な読売新聞社の申し入れは下記のような内容だった。(七つ森書館がまとめた要旨による)

1)読売新聞が依頼している弁護士から、出版契約書の有効性に疑問がある、という指摘を受けている。
その理由として、通常は局長ないしは部長が結ぶべきものであるが、今回は次長が署名している。
2)仮に、出版契約書が有効だとしても、契約の解除をお願いしたい。
3)契約解除にあたっては、金銭で解決にあたりたい。編集にあたっての実費と逸失利益を補償する。

それに対して、七つ森書館は下記のように反論した。(七つ森書館の資料より)

1)良いドキュメンタリーを発掘して世に伝えるのが「ノンフィクション・シリーズ“人間”」の企画の主旨です。
2)新刊ならともかく新潮社から書籍、その後文庫で出版されて評価は定まっている本なので、復刻して出版しても差し支えないのではないでしょうか。
3)本書を出版させない、ということであれば、出版妨害になると考えます。
4)仮に出版中止ということになれば、読売新聞社、清武氏、七つ森書館、佐高氏の全員が傷つくことになるので、大きな気持ちで出版した方が良いと思います。
5)出版によって被る読売新聞の被害はどのようなものか、具体的に示してください。

七つ森書館は、今年1月刊行予定だった本の発行を延期し、代理人同士で話し合いを続けたが、両者の主張は平行線で、結局、交渉は打ち切られ、4 月11日に「出版契約無効確認請求事件」として提訴 された。中里氏はこんなふうに訴える。

“「出版契約を解除してください」というお願いが認められないとなるや、それをひっくり返そうと「出版契約書が無効である」と主張しています。それは「内規」を他者に押しつけるという傲慢な論理です。このような読売新聞社の行動は、出版妨害であると考えます。私たち七つ森書館を訴えることによって、多大な時間と訴訟費用の浪費を迫るという、強者が弱者をやっつけるために用いる手段は、悪質であると言わざるをえません”
 
新潮文庫ではもともと「読売新聞社会部」という著者名だが、七つ森書館の著者名が「読売社会部清武班」となっているのは清武氏の発案で、読売新聞社側も認めたものだったという。著者名から清武氏の名前をはずして出版するなどの妥協点はなかったのかなあ…。

七つ森書館としては、あくまでも出版する方向で動いているようだ。中里氏はホームページ上で「私たちアリのように小さな存在が、巨象のように大きな読売新聞社に対して、おかしいことはおかしいと言って誤りを正していくことが重要だと思うのです」と決意を述べている。今週の木曜日には、外国特派員協会で監修者の佐高氏、清武氏とともに、記者会見をやる予定とのこと。

もしかすると、読売新聞が訴訟をおこしたことが、この本のすごいPRになったりして……。読売新聞も、もっとおおらかな対応をしたほうが結果的に得なのにね。もちろん、七つ森書館にとっても、訴訟は大きな負担になるだろう。

「アリ」よりももっと小さな出版社であるロゼッタストーンとしても、こういう事態は他人事とは思えない。ともかく、今後のなりゆきに注目しておこう。

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