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zoom RSS 7月17日(火) 『「主権者」は誰か』(日隅一雄著)

<<   作成日時 : 2012/07/17 23:30   >>

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昨日、東京では原発反対を訴える人たちが17万人(※主催者発表・警視庁関係者によれば約7万5千人)も代々木公園会場に集結した。私もちらっと様子を見に行ったのだが、各地の労働組合などののぼりもたくさん並んでいたけれど、お年寄りから赤ちゃんまで、一般の人たちもたくさん集まっていた。会場に向かう行列は、山手線の中の乗客がそのまま移動していくような雰囲気。あるいは、お祭りにたくさんの人が集まるような雰囲気。熱気はあるけれど、殺気はない。日本人らしく、みんなマナーよく抗議の声をあげている。

先日亡くなった弁護士でジャーナリストの日隅一雄さんの遺作『「主権者」は誰か』(岩波ブックレット)という本を読んだ。54ページの小冊子だけど、たぶんこれが日隅さんが最期まで訴えたかった内容なのだ。

日隅さんは、私たちが主権者として振る舞うことができるための条件として、次の5つをあげている。

1)自分たちのことについて判断するため、必要な情報を得られること
2)情報に基づき、市民が代表者としてふさわしいと考える人物に投票できること
3)国会で自由闊達な議論がおこなわれ、立法や政策に市民の意思が反映されること
4)法律を執行する行政を監視するシステムがあること
5)国民がみずから主権者として振る舞うための教育などがおこなわれること

それぞれの解説をざくっと要約すると…。

1)について
原発事故の際、被爆をできるだけ避けるための情報を国は速やかに出さなかった。主権者として振る舞うためには、正しい情報を手に入れることが何より決定的に重要。そのためには、議事録作成の義務づけ、情報公開の不開示が妥当かどうか検証する仕組みをつくること、政府が正確でわかりやすい情報を公表すること、記者会見を広く開放すること、内部告発者を保護することなどが必要だ。

2)について
日本ではインターネットによる選挙運動の禁止、戸別訪問の禁止など、選挙運動が非常に制約されている。また、政治的なビラをまいた者が逮捕され、長期間拘束されたうえ、有罪判決を受けるなど、表現の自由に対する公権力による介入が他の国に比べ著しい。市民が当選させたいと考える候補者を十分に支援できるように、これらの改善が必要。
また、1つの選挙区から1人を選ぶいまの小選挙区制では、当選可能性のある候補者に投票しようとすると、選択肢がなくなることがある。(たとえば、自分は脱原発を望んでいるのに、二大政党の候補者がどちらも原発廃止を主張していない場合など)
立候補するのに数百万円の供託金が必要なこと(諸外国は無料ないしは数万円)、候補者、当選者に女性が少ないことも早急に改めなければならない。

3)について
日本には、ある法案について政党として賛成するか反対するかを決めてしまい、所属議員はそれに従って投票する「党議拘束」がある。これによって、法案が提出されたあとでは、他の政党がどのような正論を述べても大きく修正されることはなく、国会での議論が形式的なものになってしまっている。党議拘束をなくし、本会議での法案修正をいとわなければ、国会での議論は活発化し、各議員の法案に対する理解も深まるだろう。
主権者の権利制限は、法律ではなく官僚が決める「省令」や「通知」によるものも多いが、基本的なことは法律によって明確に定めるようにすべき。
日本の審議会は形式的になってしまっている。イギリスには、審議会、行政委員会、公営企業の委員や理事、政府関連法人の理事や職員などを公選制によって選び、第三者が選考過程に関与することで可視化しようという制度がある(公職任命コミッショナー制度)。このような制度の導入も必要なのではないか。
科学的に専門性の高い分野に関する審議会では、「コンセンサス会議」を採用するべき。これは、希望者から年齢・性別・職業などを考慮して選出された市民が、議論のテーマについて、賛否両方の専門家に質問を重ね、市民だけで議論して一定の結論を出すというもの。発祥の地、デンマークでは政策に強く影響を与えている。
主権者が直接的に意見を表明するためには、国民投票で私たちの意思が直接反映されるような仕組みをつくること、他国よりもはるかに厳しい、デモに対する過剰な管理、制約も無くすことも必要。

4)について
原発では、規制担当と推進担当が十分に分離していなかった。原発に限らず、規制と推進を分離し、規制機関の独立性を確保することが大事。
天下りで官僚が主権者よりも「私企業」の意向を尊重するのも問題。天下り防止には、前述のイギリス公職任命コミッショナー制度が参考になる。
法令や制度の改善にまで踏み込んで意見を述べることができる公的オンブズマン制度の導入も、欧米諸国では成果をあげている。
福島原発事故後、国会に事故調査委員会が発足した。行政の監視や検証を行うこのような機関は、大事故や大事件のときだけでなく、常設される必要があるのではないか。

5)について
日本の教育のなかで、政治に関与する重要性を学び、体験するような「主権者教育」が必要。
また、マスメディアが発信する情報について、その正確性などについて判断し、時にはみずからインターネット等を通じて情報を発信する能力を高めることが求められる。このようなメディアリテラシー教育が義務教育段階でおこなわれれば、報道に対する接し方が変わる。

……というのが、おおまかな日隅さんの主張だ。日隅さんは本のなかで、日本のデモの規模の小ささを、規制の厳しさと関連づけて語っているが、このところの都内のデモや集会には、何万人もの人たちが集まるようになってきている。この現象は「安保以来」なのだとか。できたばかりの小沢新党「国民の生活が第一」は、党議拘束をなくすことを表明している。

すこーしずつかもしれないけれど、日隅さんが願っていたことが実現しているのかな。要は、ひとりひとりが「自分たちの国のことを、人に任せきりにしないで、自分たちで考えて決めていく」のが大事ってことよね。




「主権者」は誰か??原発事故から考える (岩波ブックレット)
岩波書店
日隅 一雄

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