ロゼッタストーン日記

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zoom RSS 3月12日(水) 出版業界のゴーストライター事情

<<   作成日時 : 2014/03/12 23:30   >>

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最近、佐村河内守氏作曲と言われていた「ヴァイオリンのためのソナチネ嬰ハ短調」をよく聴いている。行きつけの美容院で雑誌を見ていたら、最近フィギュアスケートで使われた名曲をまとめた「氷上の名曲」CDというのがおまけについていて、「これいいですねえ」と言ったら、「よかったらどうぞ」とくださったのだ。佐村河内氏の曲も、高橋大輔選手のショートプログラムで使われていたので、しっかり入っていたというわけ。実際には現代音楽の第一人者がアルバイトで作った曲だったようだが、これはこれでよい曲である。少なくとも、私のように音楽に造詣が深くない人間にとっては。

佐村河内氏の騒動が一段落したと思ったら、今度は英科学誌ネイチャーに掲載され、「世紀の大発見」と言われた「STAP細胞」について重大な疑惑が取り沙汰されている。この論文の画像の使い回しや、他論文からの無断引用などの指摘がきっかけで、とうとう「STAP細胞」論文の共著者の一人、若山照彦山梨大教授が、論文撤回を共著者に呼びかける事態にまでなってしまった。ネット上では小保方晴子氏の博士論文が、実は多くの無断引用でできているということも次々に明らかにされている。(恐るべしネット時代!)

そういう流れで、出版業界のゴーストライターについても一部で取り上げる動きがみられる。「海猿」「ブラックジャックによろしく」などで知られる漫画家で、ホリエモン(堀江貴文氏)の小説『拝金』『成金』の表紙イラストを手掛けた佐藤秀峰氏は、自身のブロマガでホリエモンの小説に代筆者がいたことを明らかにしている。
http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar476796

佐藤氏の担当編集者からは「小説の世界ではよくある制作手法で、何ら恥ずべきことだとは思っておりません」と言われたとのこと。小説の世界もそうなのだということは知らなかったが、実は出版業界全体で言えば、ゴーストライターというのはごく一般的なのである。

ロゼッタストーンでも、多忙な著者に代わってライターに執筆をお願いしたことがある。著者に何度も取材し、それを文字に起こしたものを、ライターに体裁よくまとめてもらうのである。著者は文字になったものについて、修正や加筆を行い、最終的な原稿が出来上がる。ライターの名前は、「構成」などとして、奥付等に表記されている。

文章力はないけど強烈な体験を持った人、学術的な文章は書けるが一般にわかりやすい文章を書きなれていない人、有名人で文章執筆にかける時間がない人などの多くが、ライターの協力を得て本に仕上げている。ライターの力によって、一般の人々にわかりやすく体験や知識が届けられるのだから、それ自体が悪いことだとは思わない。文章執筆を生業とする人の貴重な収入源でもあるわけだし。ただ、もう少しわかりやすく、「語りおろし」とか、「原案A、執筆B」とか、「共著」とか、ゴーストライターの存在を前面に出す方向に進むべきかもしれないなあ。

ゴーストライターについて関心がある方は、殴られ屋、晴留屋明氏の著書、『殴られ屋』と『明日こそハレルヤ!』を読み比べてもらうのもよいかもしれない。『殴られ屋』は、ライターが晴留屋氏の語った内容をまとめたもの、『明日こそハレルヤ!』は弊社発行の書籍で、本人が書いた文章をまとめたものである。おそらく感動を呼ぶのは、ライターがまとめた本なのだろうと思う。

ゴーストライターと著者の印税は、半々だったり、6対4だったり、3対7だったり、出版社によっても著者とライターとの力関係や、どれだけ労力を使ったかによってもさまざまである。著者の取り分が多いこともあれば、ライターの取り分が多いこともある。ライターの原稿料は、印税ではなく買い切りの形で、初回のみ支払われることも多い。

ゴーストライターにもいろいろあって、力があり著者の信頼も得ているライターになると、「こういう企画があるのでよろしく〜」と著者に頼まれ、著者に取材などせずに、1冊まるごと執筆する場合もある。著者は名前を貸すだけである。著者は労せずして収入を得られ、ライターは自分の名前では売れない本が売れるので、双方にとって利益がある(もちろん出版社にとっても)。

よくも悪くも、そういう慣習によって、多数の本が生まれ、多くの人がその恩恵にあずかっているわけである。が、読者にとっては、そんな慣習は「だまし」に近いのかもしれない。業界の慣習にどっぷり浸かっていた私も反省して、今後は、自社の本に関してはもっとライターの存在を明示するようにしようと思う。

※ちなみに最新刊『努力する人間になってはいけない』は、正真正銘、著者による執筆です。

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