ロゼッタストーン日記

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zoom RSS 10月13日(金) 永井健一郎さんのこと

<<   作成日時 : 2017/10/13 20:20   >>

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私は25歳から28歳くらいまで、山口県の車販売会社でアルバイトしていたことがある。当時流行っていた女性だけの販促チームの一員だった。ちょうどバブルが始まった頃で、企業にも余裕があり、販促チームといっても、直接車の販売やPRをするのではなく、会社のイメージアップのためにイベントをやったり、名画を上映したり、ダンススクールを開いたり、ミニ情報誌を発行したりと、あの時代ならではのとても楽しい職場だった。

永井さんは、販促チームのリーダーで、唯一の男性だった。穏やかで、部下に話すときにも「ですます」調で話すような人だった。アルバイトの私にも林真理子さんの講演会を企画させてくれたり、情報誌の記事を任せてくれたり、おおらかに見守ってくれていた。好奇心が強く、おいしいお店や、新しくできたおしゃれな店など、トレンドに敏感だった。お酒と詩が好きで、熱い思いを持ったロマンチックな男性だった。

中也の生誕90年(1997年)の前には、たくさんの人たちを巻き込み、数年かけて中原中也がらみの大きなイベントを開催していた。ロゼッタで中也の詩集を出すことを伝えると、当時の資料を送ってくれたり、人を紹介してくれたり、協力してくださった。

先月、遅れに遅れた中也の新刊を永井さんに送ったところ、奥さんから電話がかかってきた。なんと8月14日、永井さんはジョギング中に倒れて亡くなったというのだ。8月の頭に電話で元気な声を聞いたばかりだったので、あまりにも急な知らせに驚いた。いまも全然実感がわいてこない。人の人生って、こんなにもあっけなく終わってしまうものなのだろうか。

私が上京してからも、ゆるーくつながっていたのだが、お世話になっただけで、私は何もできなかった。中也の本はちょっと喜んでもらえるかなと思っていたのだけど、結局間に合わなかった。

せめて、永井健一郎さんという素敵な男性がこの世に存在したことをネット上だけでも残しておこうと、この追悼文を書いている。

訃報を聞いてまもなく、外階段に置いてあるエアコンの室外機の横から、何か月も前になくしたイヤリングの片方が見つかった。長期間野ざらしになっていたわりにはきれいなままだった。ちょうど『ホラホラ、これが僕の骨』のカバーの写真に写っている小石のような形の青いイヤリングで、私には永井さんが「ホラホラ、これが僕の骨」と冗談で届けてくれたように思えた。もちろん、そんなわけはないのだけれど……。

ホラホラ、これが僕の骨ーー
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
靈魂はあとに殘って、
また骨の處にやって來て
見てゐるのかしら?
(中也の詩「骨」より)

ご冥福をお祈りいたします。

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